【美味しい音が聞こえてきたら】『おとがあふれてオムライス』夏目義一 作(福音館書店)

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こんにちは、こげまるです。
本日紹介する絵本はこちらです!

『おとがあふれてオムライス』著者 夏目義一 作 出版社 福音館書店

楽しくておいしい一冊です!

書籍情報

  作者  夏目義一
  出版社  福音館書店
  初版年月日  2019年2月1日 ちいさなかがくのとも
2022年3月5日 幼児絵本ふしぎなたね
  カテゴリ  絵本/発見・ちしき/リズム・テンポ◎/リアルなタッチ/たべもの
  ISBN   978-4-8340-8648-5
  対象年齢  読んであげるなら:3歳から
自分で読むなら:小学校低学年から
シリーズ幼児絵本ふしぎなたね
  ページ数  24ページ
  サイズ  21×24cm
  文字数  約670字(やや多め)

あらすじ

今日のお昼ご飯は、オムライス!
たくさんの材料を並べたら、さぁ、お父さん一緒に作ろう!
材料を切る音、混ぜる音、炒める音…オムライスを作るのに、キッチンに音があふれてる!
読んだら最後は自分のおなかが「ぐぅ~」となってしまいそう。
思わずおなかがすいてしまう、楽しくておいしそうな一冊です。

感想

文字が踊りだしそう!リズミカルな音たち

女の子がお父さんと一緒に、お昼ご飯にオムライスを作ります。

お料理の絵本ですが、今回の主役は「音」

オムライスが出来上がるまで、キッチンから色々音が聞こえてきます。
皮をむく、包丁で切る。
同じことをしても、材料によって音が変わります。
炒めはじめと、炒め終わり。
バターもたまごも、みーんな違う音。
毎日料理をしていても、聞き逃しがちなキッチンの音たち。
絵本では、音だけフォントが変わっていて、レイアウトも音に合わせて変えられています。
その文字の角度や配置が、いまにも踊りだしそうで、見ているだけでとってもリズミカル。
料理をする人なら「あーこの音わかるー!」となったり、「うーん。この音はこうじゃないかな?」となったりしますよ。
同じ音でも、読み手によってスピードやリズム感が変わり、ちょっと違った印象になるのも面白いところですね。
少し文字数が多めではありますが、大半が「音」なので読むのは大変ではありません。

読んでいてわたしが「この音わかるわぁ~」となったのは、ピーマンの種取りとたまねぎの皮むき。
読んだら絶対に「わかる~」「これ好き」という音が出てきますよ。

バターがとけていくところもすごく良いんですよねぇ~

お子さんと、「この音が好き」「ママが作ったら、この音はこんな感じかな?」と話しながら読むのも楽しそうですね。

まるで本物!おいしそうなオムライス

この絵本の魅力は音だけではありません。
リアルなタッチで描かれた絵が本当に素敵です。
野菜はもちろん、女の子のお父さんの手の大きさや、肌やつめの違いもとても細かく描かれています。
夏目義一さんの絵本はほかに持っていないので、調べてみたのですが動物画家さんなんですね。

ライオン、めっちゃかっこよくないですか?!

動物を描くときは、現場主義でとにかく本物にふれあい描くんだそう。
今作のオムライスの野菜や卵も、調理の様子を何回も何回も観察して描かれたのでしょうか?
写真と見紛うような繊細でリアルなタッチで描かれたオムライスは、本当にとってもおいしそう。
絵なのに、出来立てほかほかのあたたかさが伝わってきます。
わたしのお気に入りは、バターのとけたフライパンに、卵を流し込むところ
卵に火が通っていくところは、本物をフライパンの中を見ているようです。
プロの人ってこんな風に絵が描けるんだ、と本当に見惚れてしまいました。

この絵みたいに卵をおいしそうに焼きたい、と思ったのはわたしだけではないはず(笑)

子どもと読んでみると

長女が3歳くらいのときに、お年玉代わりにいただいたこの本。
ちょっと難しいかな、と思いましたが、オムライスが題材なので、小さい子から楽しめます。
読んでみると、まず材料のページで手が止まり、「これなに?」と聞かれます。
これ、子どもは聞きたくなるようで、次女も三女も同じことをしました。

「バターはど~れだ」とこちらからクイズを出すのも楽しいです

読み進めると、音が面白くて子どもは夢中に。
「こうやって切るの?」「こうやって作るの?」とオムライスができていく工程も面白いみたいです。
「ママのオムライスもこうやってつくるの?」と聞かれて「ママはね…」と話したりして、子どもと会話をしながら読むことができます。
最後の出来上がったオムライスを見ると、うちの子たちは手で取ってもぐもぐ食べます。
食べたくなっちゃうくらいおいしそうなんですよね。
我が家はいつもこの本を読むと、会話がいっぱい、おなかもいっぱいになって、とっても楽しいですよ。

まとめ-おいしい音が聞こえてきたら

わたしは子どもの頃、母が料理をしている音が好きでした。
トントントントン、と木のまな板に包丁があたる、柔らかな音。
この音が聞こえると、なんだかほっとしたのです。
トントントントン、の音のあとにはおいしそうなにおいがしてきて、「お母さん、今日の晩ご飯なに?」とよく聞いたものです。

そして、「毎食聞くんじゃない!」と怒られた(笑)

大人になった今でも、実家で母が料理をしている音を聞くと落ち着きます。
母が料理をしているときの、トントントントン、の音がとても心地いいリズムでした。
母が食事を作る台所には、母が奏でる音があふれていました。
わたしは今、母親になり、料理を作る側になりました。
わたしが奏でる音は、きっと母の台所から聞こえてくれる音とは違うものでしょう。
多分、母よりも私の方が、料理が下手な音がしていると思います(笑)。
でも、ご飯支度をしていると、娘はこう聞いてくるのです。
「ママ、今日の晩ご飯なに?」。
おいしい音が聞こえてきて、おいしいにおいが流れてきて、おいしいご飯をみんなで食べる。
おいしい音には、幸せがあふれてる。
毎日のご飯支度に、楽しい音と幸せをもたらしてくれる一冊です。

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