こんにちは!こげまるです。
本日紹介する絵本はこちらです!
『とん ことり』 筒井頼子 作/林明子 絵(福音館書店)
出会いと希望の物語!春におすすめです!
書籍情報
作者 | 筒井頼子 作/林明子 絵 | ||
出版社 | 福音館書店 | ||
初版年月日 | 1989年2月10日(こどものとも絵本) | ||
カテゴリ | 絵本/ものがたり/ロングセラー | ||
ISBN | 978-4-8340-0765-7 | ||
対象年齢 | 読んであげるなら:4歳から 自分で読むなら:小学校低学年から | ||
シリーズ | こどものとも絵本 | ||
ページ数 | 32ページ | ||
サイズ | 20×27cm | ||
文字数 | 約1400字(やや少なめ) |
あらすじ
山の見える町に引っ越してきたかなえ。
お父さんとお母さんが忙しく働いている部屋の中で、かなえはつかれて座り込んでしまいます。
そのとき、「とん ことり」と、玄関の方から小さな物音が。
かなえが見に行くと、そこにはすみれの花束が落ちていました。
不思議な郵便物は、次の日も、その次の日も続きます。
最初はすみれ、次はたんぽぽ、てがみ…一体だれからだろう?
「とん ことり」の音から始まる、かなえと新しいお友だちとの、出会いの物語。
感想
「とん ことり」から始まるステキな出会い
物語は、かなえが新しい町に引っ越してくるところから始まります。
知らない町で、友だちもまだいない。
遊ぶ場所もわからない。
お父さんは仕事、お母さんは荷解きで忙しい。
ここはどんなところ?どんな子がいるんだろう?
友だちはできるかな、楽しく遊べるかな…
引っ越してきたばかりのかなえは、一人ぼっちです。
新しい町での生活への、不安と寂しさでいっぱいでした。
でも、「とん ことり」と届けられる不思議な郵便物が、かなえの心のスキマを埋めていきます。
郵便物の宛先が自分だと確信した時から、かなえは郵便物を心待ちにして、送り主に思いを巡らせます。
「とん ことり」の音がしたときの、かなえの反応が健気でとってもかわいい!
絵本のタイトルにもなっている「とん ことり」の音は、ひとりぼっちのかなえと、恥ずかしがりやのお友だちをつなぐ、とても大切な音なのです。
細かい演出がすごい!かなえのおうちと外の風景
引っ越しの日から始まる本作ですが、時間の経過とともにかなえのおうちの中もきちんと片付いていきます。
だんだんと荷物と段ボールが減っていき、かなえの家の中での遊び方も変わります。
片付いた部屋の中には、「不思議な郵便物」もきちんと飾ってあるんです!
不思議な郵便物にあまり関心がなさそうだったお母さん、かなえに頼まれて飾ってくれたのかな。
こういう些細なことでもやってもらうと嬉しいものですよね。
誰からかもわからない郵便物を、大切に飾っているかなえがかわいいです。
家の中だけではなく、かなえが買い物や幼稚園の見学のために外へ出るシーンもありますが…
実際に読んだことのある方、お気づきでしょうか。
外の様子が描かれたどのページにも、新しいお友だちの姿があるんです!
見るからに「あ、かなえが気になるんだな」という様子が可愛らしい。
かなえが気になるけど、ちょっと恥ずかしい…そんな気持ちが伝わってきます。実際に絵本を読むときは、ぜひ探してみてくださいね。
うちの子たちは、まるで「ミッケ」のように探していました(笑)
春の不安を吹き飛ばす、ラスト3ページ
絵本の中で、かなえはいつも浮かない顔をしています。
後ろ姿のことも多いのですが、その背中もなんとなくつまらなそう…。
家の中も、外の風景も、「あぁ、かなえにはこんな感じに見えるのかな」と、なんとなく味気なくて、色のトーンが暗めなのです。
読んでいるこちらもつられてちょっとふさぎ込んでしまうのですが、ラスト3ページで見事に覆されます。
それまでが曇り空なら、ラスト3ページはぱっと雲が晴れた青空。
セリフも文章もないけれど、思わず笑顔になってしまうような、心が明るく、幸せな気持ちになるラストです。
あえて文章を書かない演出と、言葉がなくても伝わるイラスト。
この絵本のラストは、ぜひ本を手に取って見てほしいです。
子どもと読んでみると
長女はかなり気に入っていて、一人でもよく読んでいます。
ラストはがお気に入りのようで、いつも読んでは笑顔になっています。
次女、三女にはまだ難しいですが、林明子さんの絵が好きなのでいつも幸せそうに見ています。
話が理解できなくても、絵で楽しめるのが絵本の良いところですよね!
うちは赤ちゃんのときから同じ保育園に通っているので、かなえと同じようなドキドキの体験はまだありません。
新しい環境に飛び込んでいくときって、胸がどきどきしますよね。
娘たちが小学校に上がるタイミングで、また読んであげたいなと思います。
まとめ-春の出会いに。新生活にお勧めの一冊
大人でも不安を感じることのある新生活。
かなえの不安や喜びは、大人なら誰もが経験したことで、そして、子どもたちも経験することです。
ひとり寂しく、不安だったかなえのもとに届いた、恥ずかしがりやのお友達からの、心のこもった郵便物。
このあたたかい気持ちとやさしさは、この先ずっとかなえの心に残ると思います。
新しいお友だちとの出会いを描いたこの絵本は、出会いや変化の多い春におすすめの一冊です。
かなえの笑顔が、不安をやわらげ、心を温かくしてくれますよ。